盗まれても初期化できないなら、盗む意味がない。そんな当たり前の理屈が、ようやく現実になってきたみたいです。
ロンドンの警察トップが、Appleの盗難対策はかなり効いていると認めました。盗まれたiPhoneがリセットされなくなり、転売ルートが詰まってきた。そうなると次に狙われるのは、対策がまだ甘い端末です。さて、それはどっちでしょう?
ロンドン警視総監が認めた「Appleは問題をほぼ攻略した」
スマホ盗難の本場と言ってもいいのがロンドン。ここのトップが、iPhoneの盗難対策の効果をはっきり口にしました。
ロンドン警視庁のマーク・ローリー警視総監によると、最近盗まれたiPhoneの大半はリセットされていないとのこと。Appleが盗難という問題をほぼ攻略した、という趣旨の発言です。警察のトップが特定メーカーの機能をここまで評価するのは、けっこう珍しい光景ですね。
背景にあるのが、iOSの盗難デバイスの保護(Stolen Device Protection)です。元々2023年から用意されていた機能ですが、長らく手動でオンにする必要がありました。それがiOS 26.4(2026年3月)からは全ユーザーで標準オンに。意識の高い人だけでなく、全員が守られる状態になったわけです。

盗難デバイスの保護(Stolen Device Protection)
| 提供元 | Apple(iOS標準機能) |
|---|---|
| 料金 | 無料(iOSに内蔵) |
| 対応環境 | iOS 17.3以降。iOS 26.4から全ユーザーで標準オン |
| 主な特徴 | 自宅や職場など見慣れた場所から離れると、端末の初期化・Apple IDパスワード変更・Find MyのオフなどにFace IDやTouch IDを必須化。一部の重要操作には1時間のセキュリティ遅延もかかる |
| 向き・不向き | パスコードを盗み見られてからスマホを奪われる手口に強い。一方、自分でも操作にひと手間かかる場面はある |
ポイントは、パスコードを知られていても突破できないこと。従来は犯人が肩越しにパスコードを盗み見し、その後で端末を奪えば、銀行アプリもパスワードも初期化も思いのまま、という悪夢のような手口がありました。顔や指紋を要求されると、これがごっそり封じられます。盗んでも中身を抜けない、売るために初期化もできない。つまり、ただのガラスの板になるわけですね。
狙いは対策の甘い方へ。Android移行の見方
犯罪者だって商売です。iPhoneが詰みなら、次に手を出すのは対策が追いついていない端末。そこでAndroidへ標的が移っているのではないか、という見方が出てきました。
実際、ロンドンではスマホがらみの犯罪自体は減少傾向。窃盗・強盗は2026年5月までの1年間で18%減、繁華街のウェストミンスター地区にいたっては年初から45%超も減ったと報じられています。iPhoneがロックされて売れなくなった効果は大きそうです。
ただ、ここは冷静に。窃盗犯がAndroidへ一斉に乗り換えたという明確な統計データは、まだ確認できていません。iPhoneが固くなった以上、相対的にAndroidが狙われやすくなる理屈は通りますが、現時点では予想の域。断定するには早い段階です。

Android側も無防備じゃない
とはいえ、Androidが丸腰かというとそうでもありません。GoogleもAppleに負けじと盗難対策を強化しています。ロンドン市長のサディク・カーン氏も、Googleの新しいセキュリティ更新を歓迎するとコメントしました。
Androidの盗難対策(Theft Detection Lockほか)
| 提供元 | Google(Android標準機能) |
|---|---|
| 料金 | 無料(Google Play開発者サービス経由で配信) |
| 対応環境 | おおむねAndroid 10以降 |
| 主な特徴 | 盗難検知ロックがAIとセンサーでひったくりの動きを察知し画面を即ロック。電波を切られても守るオフラインデバイスロック、電話番号だけで遠隔ロックできるリモートロック、初期化を阻む工場出荷時リセット保護なども用意 |
| 向き・不向き | 奪い取り型の犯行に強い。ただし機種やOSバージョンによって使える機能に差が出やすい |
注目は盗難検知ロック(Theft Detection Lock)。手から奪われて走って逃げる、自転車で逃げる、といった怪しい動きをAIが検知して、画面をパッとロックしてくれます。電波を切って追跡を逃れようとしてもオフラインデバイスロックが作動するなど、思想としてはiPhoneと同じ方向。盗んでも使えない端末にする、という発想です。
問題は、Androidは機種もOSのバージョンもバラバラだということ。iPhoneのようにiOSアップデートで全端末が一斉に同じ守りになる、とはいきにくい。ここが両者の体力差になりそうですね。
日本のユーザーが今すぐやっておくべきこと
ここまでロンドンの話でしたが、置き引き・ひったくりは日本でも他人事ではありません。しかも対策はどれも無料で、数分で終わります。やらない理由がないんです。
iPhoneユーザーは、設定からプライバシーとセキュリティを開き、盗難デバイスの保護がオンになっているか確認を。iOS 26.4以降なら標準オンのはずですが、古いiOSのままだと手動オンが必要です。あわせてiPhoneを探すもオンにしておきましょう。
Androidユーザーは、設定の検索窓で盗難対策やデバイスを探すと関連項目が出てきます。盗難検知ロックや端末を探すを有効化し、できればロック解除のパスワードも推測されにくいものに。共通して大事なのは、画面ロックを必ずかけることと、人前でパスコードを盗み見されないことです。
【モノログ的視点】設定ひとつで犯罪が成立しなくなる、この爽快感
今回のニュース、地味な見た目とは裏腹に、めちゃくちゃ痛快じゃないですか? セキュリティを本気で固めれば、盗難という犯罪そのものを成立しなくできる。しかもそれを、スマホ盗難の最前線であるロンドンで、Appleが数字つきで証明してみせた。一ユーザーとしては素直に胸がすく話で、こういう守りの進化はもっと評価されてほしいと思っています。
そしてここからが個人的にいちばんワクワクするところ。Android陣営の追い上げです。盗難検知ロックにオフラインロック、リモートロックと、Googleが揃えてきた機能カタログは正直かなり多彩で、AIで奪い取りの動きを察知して即ロックなんて、聞くだけでちょっと未来感があってグッときます。AppleとGoogleが盗難対策で本気で殴り合ってくれるなら、得をするのは間違いなく僕らユーザー。この競争、最高に楽しみです。
そして何より嬉しいのは、この恩恵を受けるのに買い替えがいらないこと。iPhoneでもAndroidでも、すでに手元の端末がこの守りを持っているんです。今日やることは、機種選びではなく設定アプリを開いてスイッチをオンにするだけ。数分で、自分のスマホがただのガラスの板に変わる魔法のスイッチが、もうそこにある。これってかなりお得ですよね。強いて言えばAndroidは機種ごとに行き渡るスピードの差がある点だけ頭の片隅に置きつつ、まずは今すぐ設定を開いてみてください。守りが進化していく時代、けっこう面白くなってきましたよ。
情報参照元: AppleInsider・iPhone Stolen Device Protection is thwarting prolific London thieves/MacRumors・iOS 26.4 Enables Stolen Device Protection by Default/Mayor of London・Mayor welcomes updates from Google to combat mobile phone theft/Google・Android theft protection features/画像: AppleInsider/Google/MacRumors


