新しい携帯番号060、7月開始が延期。原因は一部端末と緊急通報にあった

スマホの電話アプリに060から始まる携帯電話番号を入力した画面 格安SIM


7月から使えるはずだった新しい携帯番号が、いきなり足踏みです。

090でも080でも070でもない、060から始まる携帯電話番号。2026年7月以降に順次スタートする予定でしたが、NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイルの5社が7月8日、そろって提供開始の延期を発表しました。新しい時期は未定。番号の枠そのものは1年半前から用意できているのに、なぜ止まったのでしょう。

大手5社が足並みをそろえて延期、新しい時期は未定

7月8日に各社が出したお知らせは、内容がほぼ同じです。2026年7月以降に順次開始を予定していた060番号の提供について、開始時期を延期する。提供開始が可能になる時期が決まり次第、あらためて案内する。それだけ。

リリースには延期の理由が書かれていませんでした。5社が同時に、同じ文面で、期日を白紙に戻す。これはどこか1社の都合ではなく、業界全体でそろえないと動かせない部分でつまずいたということです。

総務省の庁舎入口にある表札

止まった原因は、端末の表示と119番だった

理由が明らかになったのは、その2日後です。林芳正総務大臣が7月10日の閣議後会見で、延期の要因として2つを挙げました。

ひとつは端末側の問題。060から始まる番号を正しく表示できない携帯電話端末があり、ソフトウェアの更新が必要になっているという話です。着信画面に相手の番号がまともに出ない、あるいは発信できない端末が残っているなら、確かに配れません。

もうひとつが緊急通報まわり。通信事業者と消防本部をつなぐシステムの改修が、まだ途中とのこと。119番にかけたとき、通報者の番号が正しく渡らなかったり、折り返しがつながらなかったりしたら命に関わります。ここだけは間に合わせで走らせるわけにいきません。

延期と聞くとネガティブに響きますが、中身はかなりまっとうな慎重さですね。

そもそも060って、何のために増やすの

060番号|携帯番号に加わる4つ目の頭3桁

提供元 制度は総務省、実際の提供は携帯電話事業者各社
料金 各社の携帯料金プランに準じる見込み(060番号そのものへの追加料金は案内されていない)
対応端末・必要環境 060の表示に対応した端末。一部の端末はソフトウェア更新が必要
主な特徴 060-1から060-9で始まる11桁。新たに約9000万の番号が使えるようになる
向き・不向き これから新規契約する人に順次割り当て。いま使っている番号を変える必要はない

携帯番号の頭3桁が増えるのは、2013年に070が加わって以来です。1999年1月に090で11桁化され、2002年に080、そして070。3つ合わせて2億7000万の枠がありましたが、スマホの普及と1人で何回線も持つ使い方が定着して、新しく配れる分が細ってきました。

そこで総務省が2024年12月20日に電気通信番号計画を変更し、060-1から060-9で始まる11桁の番号を携帯電話事業者に指定できるようにしました。これで携帯用の番号は約3億6000万まで増えます。ちなみに060はもともと固定電話と携帯を融合したFMCサービス向けに確保されていた枠とされ、携帯への転用は長年の宿題でした。

総務省の電気通信番号指定状況に記載された060番号のブロック割り当て表

しかも、総務省が公表している電気通信番号指定状況を見ると、060の番号ブロックはすでに大手5社へ指定されています。商品は棚に並んでいるのに、レジがまだ動かない状態と言えばイメージが近いでしょうか。

番号が足りなくなった背景は、そのまま私たちの使い方の変化です。メイン回線のほかにデータ専用のサブ回線を足したり、povoの大容量トッピングで回線を使い分けたり、旅行のたびに海外eSIMを追加したり。1人1番号だった時代の設計が、そろそろ限界に来ていたわけです。

いま090や080を使っている人への影響は

結論から言うと、ほぼありません。070/080/090で始まる番号はこれまでどおり使え、変更の手続きも不要です。総務省も各社も、そこははっきり明記しています。

060が関係してくるのは、これから新しく契約する回線や2回線目を増やすとき。提供が始まった後に発行される番号の一部が、060になっていくという流れです。自分から選べるかどうかは、各社が開始時期を公表するときに見えてくるでしょう。

むしろ気になるのは、番号を見る側の慣れのほう。060を見慣れていないと、知らない番号だから怪しいと判断されて着信拒否されたり、企業の入力フォームで弾かれたりするケースが出てきそうです。実際、業務システムの番号チェックが070/080/090しか受け付けない、という話は珍しくありません。この地味な作業こそ、開始までの猶予でどれだけ潰せるかが勝負になります。

総務省は、事業者の対応が完了した段階で060番号のサービスを始められるよう促す構えで、対応のめどは2026年度内とされています。7月と8月には各社から提供開始の予定時期が示される見通しでした。仕切り直しの発表を待ちましょう。

【モノログ的視点】頭3桁が増える日は、意外とお祭りになる

延期のニュースなのに、正直ちょっとワクワクしています。だって、携帯番号の頭3桁が変わる瞬間なんて13年ぶりですよ。070が出てきたときも、最初は見慣れなくて戸惑って、気づけば当たり前になっていました。あの感じをもう一度味わえるわけです。

しかも今回は、延期の理由が実に通信インフラらしくて好きです。新しい番号を1つ増やすために、全国の端末のソフトを直して、消防本部との接続まで確かめている。派手さゼロ。でも、誰かが119番にかけたときに確実につながる世界を守るための足踏みだと思えば、これは待つ価値のある延期です。むしろ、期日ありきで見切り発車しなかったことを評価したい。

個人的に楽しみなのは、060が出回り始めたあとの空気です。新しい番号帯は最初、必ず不審がられます。そこを乗り越えて日常に溶けるまでの数カ月が、たぶんいちばん面白い。番号を見ただけで新しい契約だとバレる、みたいなちょっとした遊びも生まれそうです。

いま何かすべきことがあるかというと、ほぼありません。手持ちの番号は据え置きですし、乗り換えや新規契約を先延ばしにする理由にもならない。プランの選び直しを考えているなら、060を待たずに動いて大丈夫です。強いて言えば、そろそろ使っている端末のソフトウェア更新をためずに当てておくくらい。それだけで、新しい番号が来た日にすんなり乗れます。

古い番号がそのまま生き続けたまま、新しい枠がそっと足される。この地味に賢い増やし方、けっこう好きです。開始日の発表、楽しみに待ちます。

情報参照元: 総務省・携帯電話番号への060番号の追加総務省・音声伝送携帯電話番号への060番号の追加(報道資料)総務省・林総務大臣閣議後記者会見(7月10日)総務省・電気通信番号指定状況NTTドコモ・060番号の提供開始時期の延期についてKDDI・携帯電話番号への060番号の追加について/画像: ITmedia Mobile/ケータイ Watch/総務省

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